2020年1月25日、市民センター102号会議室にて、芦屋バティーズ代表の竹田佳子さんを講師にお迎えして上記講座を開催しました。

この講座には多くの反響があり、高齢時代を迎えつつある世代にとってペットとの行く末に非常に関心が高いという事がわかりました。犬と婦人

高齢者にとってペットの飼育は、世話をすることにより生活のリズムが整う、散歩によって体力や健康の維持につながる、近隣住民との交流ができる、何より命あるものとの暮らしが心の支えになり癒される等、良い面がたくさんあり多いに推奨されることもあります。

しかし、人もペットも共に寿命が延びており、高齢の飼い主とペット双方の介護問題や、飼い主の体調悪化や緊急入院、施設入所、時には死亡によりペットが取り残される、などの問題も発生しています。実際にここ数年、高齢になってペットの世話が出来なくなった飼い主が自ら動物愛護センターへ持ち込むというケースが増えている、という現実があるのです。

ペットの命を預かる飼い主の当然の責任として、ペットの世話ができなくなった時の対応策を事前に考えておく必要に迫られています。

そこで、いざという時のために今やっておくべきことは…健康手帳

 1. 一時的な預かり先を確保しておく
 2. かかりつけの動物病院をもつ
 3. ペットシッターやペットホテルを調べ、時々利用して慣らしておく
 4. ペットの健康手帳を作って、わかりやすい所に置いておく
 5. 留守宅にペットが取り残されている事を示すカードを常に財布の中に入れておく
 6. 常日頃から基本的なしつけ、必要な予防接種などをしておく

飼い主の緊急入院などの場合、取り急ぎ誰かにペットの世話を頼まなければならず、そのような場合に応えてもらえる人、または場所を準備しておかなければなりません。その際になじみのペットシッターやペットホテルとの繋がりなどもあれば、とりあえずはペットの心配をせずに済むと思います。
SOS家にペットがいます!

飼い主が意識を失って倒れたりする場合も想定して、ペットが家にいることを伝える「SOSカード」を常に所持(健康保険証と一緒に)しておくこと、それに加えて、ペットの詳しい情報は「健康手帳」に記入して冷蔵庫など誰にでもわかりやすいところに保管しておくと良いでしょう。

 

 SOSカード、健康手帳(犬)、健康手帳(猫)のダウンロードはこちら。 

さて、飼い主としては長期の入院、介護施設への入所、あるいは死亡など、万が一の場合にも備えておかなければなりません。飼い主による飼育が不可能になり、ペットの世話を託せる家族も友人もいない場合にはどうすれば良いのでしょうか。

1.老犬老猫ホームにペットを預ける

老犬ホームにもいろいろな形態があり、その経費もさまざま。前もって飼育環境や条件などをしっかりと比較検討し、安心して預けられる施設かどうかを確認しておくことが必要。また老犬ホームはあっても老猫ホームはまだ少数しかないようです。

2.ペットと一緒に暮らせる有料老人ホームへの入所。

自分のペットを連れて入居でき、最後の時まで一緒に暮らせる高齢者施設が最近になって少しずつ増えて来ています。しかし入居の条件が色々ある上に、入居費用や予約が必要になってくるため、下調べや準備は早めにしなければなりません。

3.ペットのための遺言、ペット信託を準備する
ペット信託とは、飼い主にもしもの事があった場合にペットを最期まで飼育するためのお金を用意する仕組みです。あらかじめ財産の一部を信頼できる人物もしくは団体と信託契約し、飼い主が飼育できなくなった時に、その財産から飼育費を支払って行くシステムになっています。老人と猫

飼い主が亡くなって相続が発生した時、事前に信託契約を行っていれば、ペットの飼育費は相続財産と別の扱いになっているため、大切なペットのために確実に財産を残すことができます。信託を受ける人もしくは団体には、「善管注意義務」(善良な管理者の注意を怠らない)、「忠実義務」(受益者のため忠実に事務にあたる)等を守る義務が発生し、ペットの世話に強制力と監視力をつけることができるのです。
(念のために遺言状も作成しておく)

ペット信託について詳しい行政書士や弁護士に相談しておくことをおすすめします。

講座を終えて

この講座を開講した翌週、2月初旬あたりから、新型コロナウイルスによる肺炎の脅威が少しずつ私たちの身辺に及びはじめました。講座内容についてもう少し高齢になったら真剣に考えなくては・・・などと呑気に思っていた私たちにも、思わぬ感染による入院(で済めばいいけど)のリスクに備える必要が迫ってきました。

明日は、いや今日は我が身と心して、愛するペットの行く末を真剣に考えて備えておかねばならない時期はもう来ているのだと実感させられました。